落語漫画の新鋭「昭和元禄落語心中」の魅力について

私が元々落語が好きだということもあり、このような落語を題材にした漫画が発売されることを知った瞬間に読んでみたいと思いました。この漫画の簡単なストーリとしては、2人の落語家を中心とした過去の話と、突然入門してきた一人の落語家を中心とした現代(昭和)の話が折り重なりながら進行していくというのが主なストーリーの柱なのですが、それぞれのキャラクターに落語でいうところの業が表現されており、人間の欲や器の小ささなどがよく描かれているなと感じました。そして、もちろん作中に実際に存在する古典落語をキャラクターが演じるシーンももちろんあるのですが、物語のストーリーと落語のストーリーが絶妙にリンクし合って思わずグッとくるところがあります。

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特に、助六が芝浜を演じていた回のところなどは、家庭を顧みず浮気や遊びを繰り返していた助六が、落語と真剣に向き合う中で家族への愛を再確認するというシーンなどは、芝浜の心情と重なっており、助六の心の動きが落語を通じて変化していくさまが、よく表現されていたと思います。落語を知らない人が読んでも、ストーリーが面白いので、きっとはまること請け合いだと思います。もちろん落語好きが見ても十分満足できる内容です。特に私が気に入っているストーリーとしては、2巻から5巻に登場する若いころの八雲と助六の関係性は心惹かれるものがあります。

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簡単にあらすじを紹介すると、先代の八雲の養子として入門した菊比古(当時)と、突然八雲の家に押しかけて入門を志願したことで、入門することを許可された助六の2人が互いに切磋琢磨しながら落語の修行に励みます。努力を重ねながらも落語が上達せずに日々悩んでいる若き日の八雲と天才肌で人を惹きつける天性の落語ができる助六という陰と陽の対照的なキャラクターが青春を謳歌する姿や彼らを取り囲む因縁が描かれています。特に私は、天才的な才能を隣で日々見せつけられる若き日の八雲の影の部分にひかれてしまいました。

この影こそが彼の落語の根幹を形作っていくのですが、この影がのちのストーリーにも影響を与えていく中で、彼の苦悩を読んでいながら感じていました。しかしながら、八雲は助六を嫉妬しながらも認めており、助六の評価が実力に比べて低いことに納得していなかったところなど、この二人の同じ時代を生き抜き、同じものに没頭したということでうまれた固い友情模様が魅力的に描かれていました。

さらには、彼らを取り巻く状況の一つ一つがのちのストーリーに大きく影響していくため、漫画全体を考えても重要な部分でもあると思います。特に、実力の割に認められない助六が自身境遇について本音を語るシーンなどは悲劇的で、彼の人生全体を思わず考えてしまいました。この漫画全体のテーマとしては、人間が持つ闇の部分なのではないかと思うのですが、この作品では特に八雲の心の闇が深く描かれている中で、周囲のキャラクターとのコントラストでその有様を表現したいと作者の方は考えたのではないでしょうか。

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