バスの先生と見慣れない女が、何やらやり取りしている。
長男「ママ!」
人の間から、長男と視線が合い、長男が手を振っている。
玲子「ほら、やっぱりお迎え来たじゃない!」
バス停から玲子さんの声がして、玲子さんが自分の娘さんと我が家の長男を抱きしめ、見慣れない女から距離をとる。
すると、それを合図のように他のママさんたちも潮が引くかのごとく、離れる。
ゆっくりと振り向いたその女は、この前、乗り込んできたあの女だった。
事態が理解できない様子で、きょとんとする幼稚園の先生、なんだかもう見るからにおかしな様子でこちらを見てくる女。
私「なにしてるの」
近つくと、その女の手には、旦那の免許証が握られていた。
先生「あ、あの、今日は、ママさんの代わりに、この方が……お迎えだと……言われて……頼まれた、と。パパさんの免許証を見せてもらって………でも、他のママさんたちが、そんな話聞いてないからって、その方には受け渡さないで、と」
そう言って、玲子さんを見る。
きっと事情を知ってる玲子さんが怪しんで、引き渡さないでと言ってくれたのだろう。
すると、その女は、わたしが抱いていた次男に手を出してきた。
ゆうこ「この子たちは!!私の子なの!!返してよ!!」
突然の大声に周りがザっと音を立てて引いていくのがわかる。
私「やめて!触らないで!」
次男を取られないようにしながら、玲子さんの方をみると、玲子さんは自分の子どもと同じように、長男を守ってくれていた。
ゆうこ「私が!!育てるの!!あの人の子どもだもの!!」
抱っこヒモごと引きちぎられそうな勢いと形相。
私「やめて!!頭おかしいんじゃないの?!」
そんなやり取りをしてると、誰かの「警察!!誰か110番して!!」との声がした。
幼稚園の先生も泣いてしまっていると、バスの運転手のおじさんが降りてきた。
そうしてわたしたちの間に入って、ゆうこを引き離してくれた。
「子どもたちがいるだろう!!やめなさい!!」
警察が駆けつけるまで、運転手さんが押さえつけてくれていた。
ゆうこ「やめて!!お腹に赤ちゃんがいるのにぃぃ!!」
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