警察が来るまでの間、ゆうこはホラー映画顔負けのトーンで泣き叫び、わたしも泣きながら、周りのママさんに謝り、離れてもらった。
玲子さんは「ひとりで大丈夫?」とわたしに確認してから、長男と次男を預かると言ってくれて現場から離れた。
もうわたしもパニックで。恥ずかしいやら、悔しいやら、悲しいやら。
警察が来て、とりあえず警察に行くことになった。
もう隠してはおけないと実家の母にも連絡して、来てもらった。
旦那の実家にも、こちらから連絡して来てもらうことにした。
旦那には義母から連絡してもらい来てもらうことになった。
ゆうこは、もう旦那と関係が始まったときには、精神を病んでしまっていたらしい。
それでも、そういう女子は、男からみたらか弱く魅力的に見えるらしく、まんまと毒牙に掛かったらしい。バカみたい。
実家を頼りながらも、家事や育児に勤しむわたしは、旦那の目には強く見えたのだろうか。
警察には、母だけではなく、父も来ていて。
私「迷惑かけてごめんなさい」
そう謝ると「お前はなにもしてないんだな?」と父に確認された。
その言葉に頷くと、転がるように警察署に入っていた旦那の胸倉を引っ張り、廊下の椅子に座らせ、1か10まで父親である俺の顔を見て説明しろ、と淡々と言い迫った。
旦那は父の圧に震えながら、不倫の事実を話した。
ゆうこが妊娠していることも話すと、話を聞いていた母は泣き出し、そんな両親を見て、わたしは胸が痛んだ。
わたしは、もう何思わないし、これ以上傷つくことも無いけども、こんなろくでなしと結婚してしまった娘を見て悲しむ両親の姿は、辛かったし、申し訳なく思った。
旦那の両親はスライディングするかのごとく、土下座をし、また旦那も並んで土下座をし、それはそれは、見るに堪えない地獄絵図だった。
私「みんなの前で、ちゃんと説明して?この先、どうしたいのか。まだわたしは嫁なんだから、あなたに指図する権利もあるでしょう?こんな目にあわされて。息子、あんなわけわかんない女に誘拐されかけたの!あんたが!半端に手だすから!別にもうどうしようかは勝手だけどさ!子どもに手出すのは!許せない!自分のしたことで!こんなことになってるの!」
旦那「本当に申し訳ありませんでした……」
私「あんたはもう腹の子どもにしか興味ないかもしれないけれど!わたしの子、あの子たちになんかあったらどうするつもりだったの?!責任とれるの?!」
旦那「……ゆうこ、いや、あの人も……そんな傷つけるようなつもりはなかったと思うけど……」
ゆうこの取り調べは、まだ終わる様子が無かった。
正直、あの女のことなんて知ったことではない。
ここに居る人間だれもゆうこの親族でもないのに。それでもどこか、彼女を心配するような様子の旦那がどうしても許せなかった。
私「実際、警察沙汰になってんでしょう?なんなの、どこまで思考が浅いの、あなたは。ほら、みなさんに説明しなさいよ。あの女の子どもを産ませたいから、わたしと離婚したいって、説明しないさいよ」
旦那は顔を真っ赤にしながら、泣き、頭を何度も下げ、わたしや両親に向け「すみません、あの人と結婚したいので、離婚してください」と何度も言った。
ここまで来て、旦那と寄りを戻したかったわけではない、こちらからも願い下げだけど、それでもこの人の変わらない決意みたいなのを感じて腹が立った。
あんなヒステリックな女の何が良いのだろう、頭がおかしくて、誘拐未遂まで起こす女。そんな女に負けたようで、やはりひどく悔しかった。
やがて、警察の人がやってきて、被害届を出すかと問われた。
もちろん出したい、と 答えると旦那がまた頭を下げて「お願いですから、穏便に済ませてもらえませんか」と言ってきた。
私「なんで、あの女側に立って話を進めてんの?あんたさ、まだうちの子の父親でしょう?長男は巻き込まれて、幼稚園児、きっと今日のこと記憶に残る。あの女に対して怒りの一つもないわけ?」
旦那「それは……」
・・・続く
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